インドカレーに比べ知名度はまだ低いですが、最近ファンが急増中のスリランカカレー。
その草分け的存在で、日本全国のカレーファンに人気の店が浜松市舞阪にあるのをご存知でしょうか。
その秘密を探るべく、港町舞阪の『ララカレー・ジャパン』に向かいました。
舞阪港のすぐ近くに、異国の雰囲気漂うカフェ兼工場『ララカレー・ジャパン』があります。
代表の廣畑さんに話を伺いました。
「スリランカカレーを日本に広めたいという思いだけ。何もない所からのスタートでした」
廣畑さんが小中学生の頃、舞阪には大勢の外国人が滞在していて、その文化や料理に触れる機会が多く、その中でもスリランカ人の作るカレーは特に美味しかったそうです。
就職してしばらく経った頃、世界の料理に興味を持つようになりスリランカカレー熱が再燃。その美味しさを広げたいという一心で、『ララカレー・ジャパン』はスタートしました。

味のベースはお母さんの作るスリランカカレー。
そこから日本人の廣畑さんとスリランカ人のお義父さんの二人が「美味しい」と納得できるものを目指しました。
何度も現地スリランカのスパイス工場と共に試行を重ね、30種類以上のスパイスとニンニク、ショウガなどの香味野菜を合わせたオリジナルスパイスが完成。
当時はスリランカカレー自体を知らない人がほとんどだった2009年に通販事業をスタート。
日本のスリランカカレーの歴史に大きなうねりを起こした瞬間です。

ネットワークも成長の秘密のひとつ
一般的なスリランカカレーは、ココナッツミルクが入り、スープのようにサラリとして、油分控えめ。
辛口が基本ですが、ミルクを多めに加えることで甘口にもなり、好みで調整することができます。
お米やパンだけでなく、煮物やサラダなど色々な料理と混ぜて食べるのが本場スリランカ流。
ルーは、スパイスだけが先行することなく、味と香りが、合わせた具材を見事に引き立てます。
混ぜることで美味しさが増していくのです。
「皆でワイワイと食卓を囲んで、ワンプレートの中で自分好みのカレーを作る」
そんな光景を日本中に広げたい…それが『ララカレー・ジャパン』の願いです。



『ララカレー・ジャパン』が特にこだわるのは、スパイスの味と香り。
フェンネルシード、カルダモンなど、スリランカの厳選された新鮮なスパイスを香味野菜と合わせ、現地工場で製造しています。
出来たてが工場から直接届くから、味や風味が劣化することもありません。
「良いものをできるだけ早く手元に」食べた時に感じる鮮烈で優しいスパイスの香りは、その鮮度へのこだわりを徹底しているからこそ。
廣畑さんが譲らない「スパイス感」は実際に食べてみると良くわかります。

ララカレーは全行程手作りです。注文に合わせて作り、過剰在庫を持ちません。そして、その日にできたものを冷凍にして各家庭に届けられるのです。
作りたての風味がそのまま家庭で味わえるわけですから、リピータ続出も納得です。
「グルテンフリーで、化学調味料、保存料も一切使っていないから、体に優しい。辛み成分が体の代謝を上げ、野菜との相性もいいので、健康に良いことばかりなんです」と廣畑さん。
味や鮮度だけでなく、カラダへの気配りも人気の秘密です。

現在販売している種類は、チキン、ビーフ、ポーク、エビ、シーフード。
どれも具がゴロッと大きく、素材本来の味がカレーに負けていません。
その中でも一番人気なのが「デビルチキンカレー」。
名前を聞くといかにも辛そうですが、実際に食べてみると、ココナッツミルクが効いて
最初の口当たりがマイルドで、後からじんわりと辛みが増してきます。
「デビルという名と、実際食べた時のギャップを楽しんで欲しい」と廣畑さん。
正真正銘辛いモノ好きの方には、激辛100倍カレーもあります。

「販売当時はスリランカカレーを知らない人がほとんど。最近では少し名前を聞くようになりましたが、まだ食べたことがない人がいるのも現実です。ここ舞阪で生まれた日本人のための本格スリランカカレーが、日本全国の多くの食卓を笑顔で包む日が来るまで、やりたいことは山ほどあります」今は、カレーと一緒に楽しむ付け合せも提供できないか思案中。
「セイカツ(生活)にスパイスを」廣畑さんの挑戦はまだまだ続きます。

1年振りに食べたデビルチキンカレーは、その風味、コク、チキンのホロホロ感、野菜と混ぜた時の旨みが以前よりもグレードアップしていました。
過去は振り返らず常に前を見ている廣畑さんは、高校卒業後にプロのバスケ選手を目指して単身渡米した過去を持つ生粋の行動派。
夢を語っている時のキラキラした目がとても印象的でした。
全くのゼロからスタートした舞阪発スリランカカレー。
日本全国至る所でララカレーを目にする日は、そう遠くないかもしれません。
Writer:ジミーなかざわ