マルモト酢醸造元 カネマン中村商店

▲柔らかな物腰だが酢に対し熱い思いを持つ四代目
▲柔らかな物腰だが酢に対し熱い思いを持つ四代目

伝統を守り続ける清水の老舗

JRの清水駅と、静鉄の新清水駅に挟まれた一角に、そのお店はあります。
清水港にほど近いその通りは、昔ながらのお店が連なり、
どこかノスタルジックな雰囲気。
引き戸に手をかけ中に入ると、出迎えてくれたのはお店の若旦那、中村悠真さん。

「カネマン 中村商店」の創業は明治38年。
約110年、この清水でお酢の製造・販売をしており、
悠真さんで四代目だそう。実は、もともとは会社員として、
服飾関係の仕事に就いていた悠真さん。
お店を継ぐきっかけとなったのは、祖父の存在だったといいます。

▲中に入るとずらりと並ぶ大瓶のお酢
▲中に入るとずらりと並ぶ大瓶のお酢
▼街並みが変わっても愛されるお酢を作り続けている
▼街並みが変わっても愛されるお酢を作り続けている
▲大きな酢の一文字が出迎えてくれる
▲大きな酢の一文字が出迎えてくれる

愛され続けたお店を守りたい

先代の祖父は、80を過ぎてもお酢づくりを続けていたそう。
しかしその祖父が亡くなり、後を継ぐ人がいない状態になったとき、
「このまま店をつぶしてしまっていいのか?」と悠真さんは考えました。
そして「長い間お客様に愛されてきたこのお店をつぶしたくない。自分が継ごう」
そう決心し、今の四代目となりました。

▲一世紀以上使用されている木の樽は大人の背を超える高さ
▲一世紀以上使用されている木の樽は大人の背を超える高さ

「うま味」がちがう静置発酵

カネマン醸造酢の一番のこだわりは、『静置発酵』という伝統的な発酵方法。
一般に流通しているお酢は『エアレーション』という速醸発酵で、
数時間から24時間で発酵が完了するのに対し、静置発酵は時間をかけ、
じっくりと発酵させていきます。

原料となるのは有名な「英君酒造」の純吟醸の酒粕。
そしてその酒粕は、そのまま使うのではなく3~5年ほど寝かします。
発酵が進んだ酒粕は、白茶色から赤みそのような濃い色に。
こうして長期間寝かせることで、酒粕に含まれるアミノ酸などのうまみ成分が
最大限に引き出されます。

さらに、そこからは100年以上使い続けている大きな木の桶で自然発酵。
機械で撹拌せず自然に身を任せた発酵は酢酸菌の膜ができ、
これが旨みを閉じ込める役割を担います。そして3か月発酵を進め、
ようやく完成です。
最短で3年と3か月という、時間と手間のかかる伝統的な製法。
だからこそ奥深く、コクのある味が実現するのです。

▲寝かせたばかりだという酒粕は淡いクリーム色/数年間寝かせると赤みそのような色に
▲寝かせたばかりだという酒粕は淡いクリーム色/
数年間寝かせると赤みそのような色に

一筋縄ではいかないお酢づくり

「お酢の製造には、繊細なお手入れが欠かせないんです」
聞いてみると、酢酸菌の発酵状況によって、お酢の出来が変わってきて
しまうというのです。気温や湿度に応じての酢酸菌の手入れは、
やはり熟練の経験によって培われた感覚が必要。
「祖父から習った通りにやっても、経験がまだまだ足りない。
もっと勉強が必要です」
その言葉は、自らが作るお酢をもっともっと良いものに、
という強い意志を感じるものでした。

▲きれいな色の醸造酢
▲きれいな色の醸造酢

お酢の出来上がり

完成したお酢を器に注ぐと、きれいな琥珀色がとぽとぽと流れていきます。
「お酢自体のなめらかさが違うので、
いろいろなお料理に“だし代わり”としても使っていただけます」
そんな悠真さんがお勧めするのは、野菜漬けや寿司飯など、和食の調理に使うこと。
鮨屋の板前に依頼し、関東・関西圏を問わず、
多くの人の口に合う味付けにしてあるため、
お酢自体の味を十分に楽しめるような料理に使ってもらいたいといいます。

▲クラシカルなラベルのりんご酢
▲クラシカルなラベルのりんご酢

カネマン 中村商店のこれから

「小さいころは、においがきつくて正直お酢は好きじゃなかったんですけど」
笑いながらそう語る悠真さんですが、
これから更なるお酢の道を突き進もうとしています。
「いままでカネマンのお酢を使ったことのないお客様にも、
お酢の魅力に気づいてもらえるような商品を提供していきたい。
『お酢』に苦手意識を持つ方や、
若い方でも楽しんでもらえるような商品づくりをしていきます」
その第一歩として販売を始めたのが「リンゴ酢」。
クラシカルなデザインのパッケージに、黄色く透明感のあるお酢がたっぷり。
炭酸で割ったり、サワードリンクにしても美味しく飲めそうです。

地元の人に愛され続けるお酢を、もっともっと広めたい――。
そんな想いで日々作られているお酢の現場が、清水にありました。

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