露地テクノファーム

お話を聞いたのは、「露地テクノファーム」の山﨑繁さんと、息子の大平さんです。
お話を聞いたのは、「露地テクノファーム」
山﨑繁さんと、息子の大平さんです。

2009年、藤枝市。
サラリーマンとして働く傍ら、農産物を育てていた山﨑繁さんは、
脱サラをすると専業農家に転身。独学で勉強して、息子の大平さん
と共にある果樹を育て始めました。
その果樹とは「桃」。昔から日本人に親しまれている、
夏を代表する果樹の一つ。瑞々しくて香りのよい、
そんな桃づくりの裏には、数えきれない試行錯誤の日々がありました。

育て始めたばかりの桃の木はまだまだ小さい
育て始めたばかりの桃の木はまだまだ小さい

スタートライン

藤枝市には、桃を育てている農家はほとんどいないんだそうです。
それでも、いろんな果樹を試した末に繁さんが桃を選んだ理由は、「周りがやっていないもの」、そして「田んぼでも栽培可能なもの」だったから。正確には、水田だった土地で果樹を作るのは不可能ではないそうですが、土壌の関係上、その栽培の難しさから、全国でも水田で育てている農家は少ないんだそうです。
繁さん自身、以前は家庭で使う分のお米と出荷用のお茶を育てていたそうですが、桃の栽培は全くの初めて。山﨑さん親子にとって、ここが「桃農家」としてのスタートラインでした。

その日の天候、気づいたこと、取り組み、結果など…事細かに記してある
その日の天候、気づいたこと、取り組み、結果など…
事細かに記してある

試行錯誤の毎日

周りに同じ果樹を育てている人がいないということは、誰にも聞けないということ。そこでまずは家庭菜園用の本を買って育ててみるものの、5年後、10年後などの長期栽培について、また基本的なこと以外は全く書かれていませんでした。
専門書を探しに近くの本屋にも通ったものの、これぞというものが見つからず。ついにはインターネットで調べて30~40年前の中古の専門書を購入。
「最初の何年間かはほとんど失敗。何が正解かわからなかった」と大平さん。付箋を貼って教科書のように読み込み、わからない専門用語は一つ一つ調べて……。
専門書、テレビ、動画サイトなど、あらゆる情報媒体を駆使して、
少しずつ知識を身に付けていきました。

どの段階で収穫するかも大事なポイント
どの段階で収穫するかも大事なポイント

ここにしかない桃、を育てる

桃は、野菜と異なり一年に一度しか実をつけることはありません。
さらにその収穫期間も約2週間という速さと短さですが、美味しい実をつけるための努力は、一年中行われています。
育てている数種類の桃に対し、それぞれの肥料をやる量、水やりのタイミング、剪定の仕方、摘果、収穫時期の決め、収穫後の保存方法……。分からないこと、失敗したことを2度と繰り返さないように。また、その年の果実の糖度や大きさ、色合い、味わい……。
その日にやった仕事、気づいたことなどを含め、細かな箇所まで毎日記録を取り続けています。すべては、次の年に繋げていくため。「自分たちで、この土地に合った方法を見つけるしかない」
現在、露地テクノファームでは300本近くの桃の木を露地栽培しています。
そして今では、年間の栽培計画まで立てられるほどになりました。

桃づくりの1年
瑞々しく爽やかな食感は夏にぴったり
瑞々しく爽やかな食感は夏にぴったり

「藤枝桃香」とその願い 露地テクノファームオリジナルブランド

こうしてできた露地テクノファームの桃は、その香りと瑞々しさが
特長。「暑い時期に食べるから、ただ甘いんじゃなくて、もう一個、
と手が出るものを」甘いながらもすっきりとした、“後味の良い桃”に
仕上がっています。この山﨑さんの育てた桃は「藤枝桃香」
という名がつけられています。山﨑さん親子の故郷である、この藤枝
で育った桃が、香りの豊かな桃であるように。
そんな想いが込められています。

毎日が学び。努力が実を結び、毎年その収穫量も質も高くなっている
毎日が学び。努力が実を結び、
毎年その収穫量も質も高くなっている

エコファーマー

桃の栽培について勉強していく中で、「土壌」の大切さを知った
大平さん。お客さんから聞かれたときにも、自信を持って答えら
れなければ、との思いがあり、「農薬」や、それにかかわる「害虫」
などについても調べていきました。
そして土づくりの技術、肥料や農薬を減らす技術を学び、今では県の
「エコファーマー」にも認定されています。

※エコファーマーとは…環境にやさしい農業に取り組むため、「土づくり」や「化学肥料・化学農薬の軽減」計画を立て、静岡県知事が認定した農業者のこと。

果てない「桃」の道

「人間が関与しているのは本当に微々たるところ。奴らの生命力で動いている。人間はそのお手伝いをしているんです」
山﨑さん親子は、そうきっぱりと言います。聞けば、300本近い木も、それぞれの表情、個性が違うそう。
試行錯誤を繰り返すのも、健康に育って、美味しく実ってほしいから……ゴールはまだ先です。
一本一本、一日一日に対して向き合い続ける、真摯な桃農家『露地テクノファーム』は
これからも、桃の木と共に成長していきます。

shizumo スタッフレポート

息子の大平さんは、桃の栽培を通してプラス思考になった、と教えてくれました。
農業は決断の連続。今日一日の仕事を決めるのも、作業の内容もすべて自分の責任。
中には、3~4日ほどタイミングを逃すと、成長しなくなるような作業もあったり、
剪定の仕方で育ちが大幅に変わったり……。
ときには、過去の自分の仕事を悔やむこともあるそうです。
しかし、「知ることが楽しくなった」と活き活きと話すその姿は頼もしく、
だからこそ桃の木も応えてくれるのだろうな、そう感じた取材となりました。

Writer:ほた子

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