

浜名湖のほとり。
温暖な気候の中、広大な敷地で
おいしい餌を食べて育つ豚たちの姿があります。
それが「豚屋 とんきい」の養豚場です。
話を聞かせてくれたのは、専務である鈴木雅之さんです。
この「とんきい」は実家でもあり、
雅之さんは幼いころから農場に行ってはお手伝いをしていたそう。

1968年、5頭の豚から始まった養豚場ですが、1998年からは、
静岡銘豚である『浜名湖そだち』の県認定農場となり、
同種の飼育が始まりました。
そして今では、『浜名湖そだち』『プレミアムきんか』などの銘柄豚を
はじめとして、年間で2500頭もの豚を出荷しています。
『浜名湖そだち』って?
静岡県産の親豚たちが交配して生まれた静岡銘柄豚。
そのやわらかい肉質と高い保水性を持った『浜名湖そだち』は、
調理してもその旨味が逃げないのが大きな特長です。


同じ銘柄の豚でも、その育て方によって、
もともと持っている旨味の引き出され方はまったく異なってきます。
豚肉の美味しさの8割は、飼料で決まるそうです。
とんきいの餌の主となる原料は「とうもろこし」。
自家配合したこの餌を食べた豚は、臭みもなく脂もしつこくなく、
すっきりした味に仕上がります。
その餌も「生後40日~50日」「子豚用」「肉豚用」など、それぞれの
成長過程に合わせて異なる配合の餌を使用しているというから驚きです。
さらに、「とんきい」オリジナルの餌には、
一般的な餌に入っている防腐剤・抗菌剤・着色料などが一切入っていません。
豚に合わせた最適な飼育と、安心で安全な環境。
だからこそ、その美味しさが際立つんですね。

「残飯をやっても、特製の飼料をやっても、どちらでも豚は育ちます。
でも、脂の質が全く変わってくるんですよ」と鈴木さん。
豚が何を食べたかによって、
その身体に溜まっていくものも変わってきます。
そうなると、最終的な肉の臭いや質も変わっていくんですね。

「とんきい」は、直売所、そして直営のレストランも経営しています。
直売所に直結した加工場では、ミンチ状の豚肉が
一つ一つ手際よく腸に詰められていきます。
腸に詰められて綺麗に並んだソーセージは、すぐ隣で燻製に。
大きな燻製機の扉を開けば、煙とともに燻製の良い香りが……。
こうしてここでは、1日4000本ものソーセージが作られています。
そのほか、ベーコンや焼き豚など豚の加工品もすべてここで手作りされています。
また、ビュッフェスタイルのレストランでは、
豚肉のほか、自分たちで作った野菜や浜松市産、県産の野菜を提供。
豚肉はもちろん、そこで使用されるものにもこだわります。

自分たちがこだわりぬいて育てた豚だから、加工や販売、
そして調理、も他任せではなく自分たちでやりたい。
お店で使ったり売ったりする野菜も、できるだけ自分たちの目で見えるものを。
その思いを具現化させたものが、
加工品であり、直売所やレストランなんですね。
●その美味しさは“日本一”
『浜名湖そだち』は、2000年に開催された「食肉産業展
銘柄ポーク好感度コンテスト」の味覚部門で1位を受賞。
全国から黒豚やもち豚などが選出されてきた中で、
堂々の1位に輝きました。

今回しずモが扱うのは、とんきいの売れ筋商品の詰め合わせセット。
3種のソーセージに焼豚、ベーコン…。
もちろん、これはすべて「浜名湖そだち」で、
とんきいのスタッフが丹精込めて作り上げたものです。
天竜の干し椎茸を練りこんだ、醤油の和風の味わいの「しいたけ」味のソーセージや、
塩と香辛料のみで1週間漬け込んだ三枚肉をスモークした無添加のベーコン。
どの加工品も余分なものを一切加えていないため、
「浜名湖そだち」そのものの美味しさをたっぷり味わうことができます。

「丹精込めて育てた豚だから、加工もしたい、調理もしたい、お客さんの顔も見たい」
「無添加の、“豚肉本来の味”を味わってほしい」
そうやってこだわる分、当然手間ひまは通常の何倍もかかってきます。
それでも「とんきい」は、手を抜くことなくその熱を豚に込め続けます。
すべては「おいしい」のため。
素敵なよくばり、大きな愛の詰まった農場が、浜名湖の畔にありました。
「自分たちが食べるものには何が含まれているのか」添加物、化学調味料……消費者側がそんな視点から食品を見るようになったのは、最近のことのように思います。
「とんきい」では、そんな時代の流れになるずっと前から、ずっと無添加にこだわっていました。
豚のこと、買ってくれる人のこと、口に入れる人のことを考え、突き詰めた結果の無添加。
丹精込められたその味を、ぜひ確かめてみてください。