うなぎの井口 手焼きでじっくりと焼き上げる本場浜松のうなぎを召し上がれ!

2代目の井口恵丞(いぐちけいすけ)さん
2代目の井口恵丞(いぐちけいすけ)さん

浜松、そして浜名湖というと、
この食べ物を思い浮かべる人も多いだろう。
そう、それは「うなぎ」。

ここ浜松ではうなぎが食べられる飲食店が軒を連ねており、
その数は80軒にものぼるという。
そんな中、浜松市浜北区に店を構えるのが「うなぎの井口」。
昭和63年の創業から多くの人に愛される、うなぎの「お持ち帰り専門店」だ。
2代目である、井口恵丞さんにお話を伺った。

浜名湖にあるうなぎの養鰻場
浜名湖にあるうなぎの養鰻場

“浜名湖うなぎ”の歴史

そもそも静岡でうなぎの養殖がさかんになったのは、安定した温暖な気候と豊富な水源などの環境の他、織物業がさかんだったため蚕などの餌が豊富だったこと、東海道の中間地点であったことなどが挙げられる。こうして恵まれた条件が重なって発展してきたのが「浜名湖うなぎ」だ。

店内のメニュー表
店内のメニュー表

「うなぎの井口」というお店

「うなぎの井口」の歴史は昭和63年から始まる。先代である父親が始めたが、そのころ息子の恵丞さんは高校生。卒業して県外の大学に進学すると、卒業して実家に戻ってきてうなぎを捌く修行を始める。そしてその矢先、先代が急逝。修行中の恵丞さんは、23歳という若さにして「うなぎの井口」を継ぐことになった。
修行中だった恵丞さんは、経営に関しても最初は全く分からないままだったという。
そんな中でも決して諦めることなく、そして客観的にお店を良くしようとやってきたこの「うなぎの井口」。今や地元の人に愛されるお店となっている。

写真/平日でもお客さんが入れ替わっていく。近所の常連さんも多いそう。浜松人の中食文化に「うなぎの井口」が組み込まれていることを証明するようだ

“家庭で食べる”文化から

「うなぎの井口」には飲食スペースが一切なく、商品の持ち帰りと地方発送だけを専門としている。これは浜松という地域が、外食ではなく商品をスーパーや商店で買ってきて食卓に並べる「中食(なかしょく)文化」が根付いているところに由来するそうだ。

写真/平日でもお客さんが入れ替わっていく。近所の常連さんも
多いそう。浜松人の中食文化に「うなぎの井口」が組み込まれて
いることを証明するようだ

家庭に「おいしさ」を届けるために

飲食店とお持ち帰り、これは食べる場所という単なる違いではない。飲食店なら焼き具合や串の入れ方など、職人の手によって工夫ができる。しかし販売して家で食べる場合、一般の家庭で職人のような調理をするわけではない。
「提供しているのは“未完成品”。料理として出すわけではなく、ご家庭で調理してもらって、初めて“完成品”になるんです」
だからこそ、「うなぎの井口」では、どの家庭でもできる限りおいしく食べてもらえるような品質と方法でうなぎを提供している。

写真/店内は商品が並ぶ他、仕入れ先の
情報や製造工程まで丁寧に書かれたボードが

写真/店内は商品が並ぶ他、仕入れ先の情報や製造工程まで丁寧に書かれたボードが
「うなぎの井口」の立て場は販売場所のすぐ裏にある。半分ほど電気を消しているのは、明るいとうなぎが暴れて体力を使ってしまうからだそう
「うなぎの井口」の立て場は販売場所のすぐ裏にある。半分ほど電気を消しているのは、明るいとうなぎが暴れて体力を使ってしまうからだそう
「うなぎの井口」の立て場は販売場所のすぐ裏にある。半分ほど電気を
消しているのは、明るいとうなぎが暴れて体力を使ってしまうからだそう

こだわりと環境

「うなぎの井口」のうなぎは、浜名湖を中心とした“国産うなぎ”を100%使用している。海外の養殖うなぎの漁獲量が増えている中でも、信頼できる数軒の問屋から仕入れているそうだ。仕入れたうなぎは「立て場」と呼ばれるスペースに運ばれる。

立て場に入ると、何本もの管から水が流れ落ちている光景が目に入る。これは、うなぎが酸欠になって弱ってしまうのを防ぐためだそうだ。この水は、地下100mから汲み上げてきた南アルプスの伏流水。外のタンクで空気と撹拌させた後、酸素を含ませるため高い位置から流していく。

さらにこの「立て場」で数日活かしておき、うなぎが“一番の食べごろ”になったのを見極め、毎朝捌きに入っていく。
「うなぎの井口」では、仕入れてきてから捌くまでの環境づくりも大事にしているのだ。

一尾一尾手作業でさばく“裂き”の作業。「うなぎの井口」の仕分け方法はうなぎの“大きさ”ではなく“重さ”だそう
一尾一尾手作業でさばく“裂き”の作業。
「うなぎの井口」の仕分け方法はうなぎの“大きさ”ではなく“重さ”だそう

製造工程

一匹一匹異なる質のうなぎを、長年の経験で培った包丁さばきでスムーズにさばいていく。その後も手作業で丁寧に血や汚れを拭き、苦味が出ないようにしていく。

メインの“焼き”の工程では、「うなぎの井口」独自の“手焼き”方法である『二段階遠赤ふっくら焼き』でじっくりと焼き上げる。

焼きあがった後は、焼いた際のふっくら感を損なわないようにゆっくりと冷ましていく。

写真/今でも看板には「白焼」という文字が大きく書かれている

素材の味が問われる“白焼”という方法

「白焼」はこの浜松周辺の地域独特の、タレや油などを使って味付けをしない、素材そのものの味が一番出る方法だ。
長い間「白焼」のみの販売を行っていた「うなぎの井口」では、先代の調理方法を変えることなく、伝統の味を守り続けている。

また、恵丞さんの代から始まった「蒲焼」に関しても、この「白焼」を使用してタレがなじむように工夫されている。

写真/今でも看板には「白焼」という文字が大きく書かれている

さらにタレにもこだわって

「国内、国外とうなぎが区別される中で、やっぱり“地元”にこだわりたい」
そんな思いがあり、蒲焼に使用されているタレは同じ浜北区の蔵元『花の舞酒造』の
辛口日本酒を使用したものになった。

写真/店内は商品が並ぶ他、仕入れ先の情報や製造工程まで丁寧に書かれたボードが
壁には数々の賞が飾られている
壁には数々の賞が飾られている

高みを目指して

企業秘密が多いといううなぎの市場では、品評会などは行われないそうだ。
「もっと客観的な評価を」という思いから2015年に出したのが「iTQi(国際味覚審査機構)」という、世界的にも権威ある品評会。その結果、総合評定で「優秀味覚賞」の二ツ星の評価を獲得。
23歳で店を継いでから、たゆまぬ努力で「美味しい」を届け続けてきた「うなぎの井口」が世界に認められた証だ。

(1)オリジナルのサプリメント「うなリズム」(2)井口のコンセプト「井口の緑鰻」(3)糖質制限のうなぎセット
(1)オリジナルのサプリメント「うなリズム」(2)井口のコンセプト「井口の緑鰻」(3)糖質制限のうなぎセット

守りながら生み出す、
「うなぎの井口」のこれから

恵丞さんは、白焼・蒲焼以外にも、別の視点からの「うなぎ」のアプローチを考えている。
急逝した恵丞さんの父が患っていたのは糖尿病だった。カロリーの高いうなぎだが、糖尿病などの病気を患っている方でも美味しく食べられる、そんなうなぎはないだろうか……。
そうしてできたのが「糖質制限のうなぎ」。
“家族みんなで同じ食卓を囲めるように”、そんな願いが込められている。

さらに、うなぎの豊富な「栄養」をもっと引き出せる商品は無いかと考案したのがサプリメントという方法だ。とくに若年層もうなぎの魅力に気づいてもらえるように、との思いがある。

“うなぎを様々な年齢層の方に美味しく、楽しんで食べてもらいたい”
そんな思いは、「うなぎの井口」のコンセプト“縁鰻(えんまん)”という言葉の願いそのものだ。
「うなぎの井口」は、これからもうなぎを通して豊かな“食の空間”を創り出していく。

一尾での「長蒲焼」の他、1人前にカットしたセットも
一尾での「長蒲焼」の他、1人前にカットしたセットも
『うなぎ本格白焼セット』では、山椒の他に塩・わさび醤油・ぽん酢醤油がついてくる
『うなぎ本格白焼セット』では、
山椒の他に塩・わさび醤油・ぽん酢醤油がついてくる

shizumo スタッフレポート

23歳で店を継ぐこととなった井口さんがまず行ったのは、徹底的な市場調査。これによって、相対的に自身が提供しているうなぎの品質を確認したんだそうです。
自分たちがやっていることが正しいことなのか、本当に美味しいものを提供できているのか。「食」を提供する人にとって根幹に関わることですが、しかしそれを“客観的に”見るのは、かなりの覚悟と勇気が必要です。
これからの「食」の市場を創り出していくのは、その覚悟を背負って、謙虚に、前を向いている人ではないか。「うなぎの井口」の元気な従業員の皆さんと恵丞さんを見て、確信に近いものを感じました。

Writer:ほた子

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