ヤマヤ醤油 「大豆・麹・発酵」をテーマに、遠州地方の食文化を伝え続ける。

緑豊かで静かな環境の中、
麹菌は育まれます。

街中の喧騒を離れた浜松市南区の田園地帯。
風景に溶け込むように佇む黄緑色の建物が
「ヤマヤ醤油有限会社」の工場です。

ヤマヤ醤油有限会社工場の様子

遠州灘からの潮の香も微かに感じられる澄んだ空気

ヤマヤ醤油有限会社工場の様子

歴史を感じさせるイリヤ印の看板

ヤマヤ醤油有限会社工場の様子

会話も和やかでとても仲の良い金原ご夫妻

浜松の伝統食「浜納豆」

その起源400年~600年前までさかのぼるという浜松の伝統食「浜納豆」
自然豊かなこの場所で麹菌が静かに育まれ、「浜納豆」にコクと深みを与えます。

木樽の中には美しく張り巡らされた麹菌の白い波模様が
木樽の中には美しく張り巡らされた麹菌の白い波模様が
何十年も使い込まれた木樽・木蓋は深い色に
何十年も使い込まれた木樽・木蓋は深い色に
刻み生姜も味のアクセント
刻み生姜も味のアクセント

元祖「納豆」の形・味を
今に伝える「浜納豆」

「納豆」とは言っても、糸引き納豆や甘納豆とは全く別物です。
「浜納豆」は糸引き納豆のように糸は引かず、甘納豆のように甘くもありません。ソフトな噛み応えと味噌のように濃厚な味が「浜納豆」の特徴です。

糸引き納豆よりも歴史が古く、甘納豆の元になったのもこの浜納豆。
浜松城を拠点としていた徳川家康公は浜納豆を好み、貴重な栄養食として戦にも持って行ったと伝わっています。

刻み生姜も味のアクセント
刻み生姜も味のアクセント
「この樽二つは最近漬け込んだものです」と利征さん
「この樽二つは最近漬け込んだものです」と利征さん

伝承の味を今も守り続ける若き7代目

ヤマヤ醤油有限会社は、江戸末期から伝承される浜納豆の味と、大正元年より引き継がれてきたイリヤ印の商標を100年以上守り続けています。 今回取材させていただいたのはその7代目。ヤマヤ醤油有限会社代表取締役の金原利征(きんぱらとしゆき)さんです。

利征さんが伝承の味作りを引き継いでちょうど20年。江戸時代から変わらぬ製法で、利征さん自らが全行程手作業で浜納豆を作っています。

しかしその20年は試行錯誤の連続、波乱万丈だったと利征さんは言います。

「この樽二つは最近漬け込んだものです」と利征さん
「この樽二つは最近漬け込んだものです」と利征さん
先代が探し求めた大粒硬めの北海道産希少品種の黒目大豆
先代が探し求めた大粒硬めの北海道産希少品種の黒目大豆

先代である亡き父の後を引き継いで…

思春期特有の親への反発心もあり、家業を継ぐことは一度も考えたことはなかったそうです。ところが、大学生であった20歳の時に父が急逝。

「人生の選択を急に迫られた感じでした…でも、自分の『やらない』の一言でずっと続いてきた会社がなくなってしまうのは忍びない、と思って…」
と当時を振り返りながら、話してくださった利征さん。
「子供の頃から手伝いを強要されていたのであまり家業に対する良いイメージはなく、自発的に仕事のやり方を聞くなんてことはなかったので、分からないことだらけでした。親父を手伝って作業していた母に教えてもらいながら、なんとかやってきた感じです。」と、今ではすっかり7代目が板につき貫禄さえ感じられる利征さんからは、想像もできないお話でした。

実際、先代である父から仕事について手ほどきを受けたことは一度もない利征さん。
しかし、父も守ってきた伝統の製法と、父が探し求めた厳選素材、そして父が残してくれた温度管理システムの中で作業をするうちに、「親父ならきっとこうするだろうな、っていうのが、なんとなく分かるようになってきました」と利征さんは温かい笑顔を見せてくれました。
直接指導は受けていなくても、変わらぬ手作業やこだわりの厳選素材を通じ、父から息子へと、その心意気や信念はしっかり受け継がれているのです。

先代が探し求めた大粒硬めの北海道産希少品種の黒目大豆
先代が探し求めた大粒硬めの北海道産希少品種の黒目大豆
黒目大豆の一粒一粒に麹菌をまんべんなくまぶしつけます
黒目大豆の一粒一粒に麹菌をまんべんなくまぶしつけます

自然環境に左右される
デリケートな浜納豆作り

浜納豆は、釜で蒸した大豆を麹菌で発酵させ、塩水に漬けて1年以上木樽の中で熟成させた後、天日干しするという作業を経て作られます。

麹菌は大変デリケートで、人肌くらいの35~40度の温度を好みます。そのため気候によっては麹菌が上手く働かず、浜納豆の仕上がりに影響が出ることも…。
気温が下がる冬は、発酵場である「室(むろ)」でストーブを焚き、毛布で豆を覆って、夜通し寝ずの番をした時代もあったそうです。
そこで先代が試行錯誤の末、麹菌発酵の最適温度を維持しつつ、大豆の内部温度も管理できる画期的な「制御盤温度管理システム」を導入したのです。

「浜納豆を作る会社は浜松にいくつかありますが、このシステムを導入しているのはうちだけです。」と話す利征さんはとても誇らしげで、父の偉業を褒め称えているようでした。

「このシステムのおかげで、一年中安定した環境で品質の良いものを作ることが出来るんです。親父のおかげです。」
まさに父が息子に残した最大の宝です。

黒目大豆の一粒一粒に麹菌をまんべんなくまぶしつけます
黒目大豆の一粒一粒に麹菌をまんべんなくまぶしつけます

「数ある発酵食品の中でも天日干しで仕上げるのは浜納豆だけです」と利征さん

夫婦二人三脚…伝統を守る夫。時代に挑戦する妻。

利征さんの奥様である香江(かえ)さんは、社長の右腕としてヤマヤ醤油をしっかり支えています。

「浜納豆を一生懸命に作る夫の姿を見て、『出来上がったものをどうしていくか』という視点で
私にも出来ることがあるかな…と思って。」と手伝い始めた経緯を話してくれた香江さん。
「毎日の食生活の中で、病気予防の為に出来ることは色々あります。」という言葉はさすが元看護師さんです。

「私自身、小さな子どももいるので添加物や人工調味料は控えたい。
無添加でシンプルな材料のみで作られる浜納豆は、健康志向・子育て世代など、求めている人は多いはずです。」
そう話す香江さんは、開発部門とWebを担当し、日々、浜納豆料理レシピを考えブログやSNSで情報発信しています。

「お客様から“刻みにくい”との声を何度かいただき、自分で刻んでみても面倒だな~と感じたため、
フードプロセッサーで一気に刻んじゃえ!とやってみたのが始まりです。」
そして利征さんが製法試行を重ね、商品化されたのが「きざみ浜納豆」。
更に香江さんのアイデアと発信力で浜納豆から続々と新商品が生まれ、人気も上昇中です。

(左)浜納豆ペーストのピリ辛濃厚つけダレ「醤(ジャン)浜納豆」(中)昔ながらの味「浜納豆」(右)コクだし旨味調味料「きざみ浜納豆」
(左)浜納豆ペーストのピリ辛濃厚つけダレ「醤(ジャン)浜納豆」
(中)昔ながらの味「浜納豆」
(右)コクだし旨味調味料「きざみ浜納豆」

元看護師で現在はヤマヤ醤油開発部・web店長・3児の母でもある香江さん

「浜納豆」をより多くの人に…さらには世界に!!

様々な個性的調味料が売り場に並び、既に出揃った感もある現代…
そこに利征さん・香江さん夫妻は敢えて挑みます。
知る人ぞ知る、マニアックな旨いもののイメージで、浜松の裏名物1位の座を獲得したい!」
と少年のような眼差しで語る利征さん。

「浜納豆の海外進出!!」と宣言し、「いずれはね(笑)」と付け加えた香江さんは、
「ビジュアルのインパクト大。『納豆』なのにいわゆる納豆ではない。なにこれ!?面白い!
…ってところを入り口に、若い世代、子育て世代に広めたい。」
と目をキラキラさせて話してくれました。

浜松市内の学校給食にも浜納豆を卸しているヤマヤ醤油さん。
「浜納豆で筑前煮を作ったら美味しかったよ」と教えてもらったりもするそうです。

「昔、うちのお爺ちゃんが浜納豆好きでいつも冷蔵庫に入ってたよ。このパッケージも懐かしい!子供の頃は苦手だったけど、
最近この美味しさが分かるようになったわ」と家族の昔話として話してくれるお客さんも多いそうです。

今も昔も地元に根付き、そして新たなファンを増やし続けているヤマヤ醤油さんの「浜納豆」。
夫婦二人三脚の夢は、着実に、そして確実に実現していっています。

先代が厳選した天日塩の塩水に漬け込み
樽熟成させること15カ月

「パッケージの黄・朱・黒の3色と東海道のイラストは
ずっと変わっていないし、これからもずっと
変えるつもりもありません!」と利征さん

shizumo スタッフレポート

関西人の私は、今回の取材を機に、生まれて初めて「浜納豆」を口にしました。その時の驚きと言ったら…想像していたのと全く違う、粘り気の無いソフトな食感、味噌のようなコク深さ。完全にハマってしまいました!!
それ以来、とにかく手あたり次第「浜納豆」を料理に加えています。それだけでプロの味に仕上がるから驚きです。
製造方法やこだわりについて話を伺い、「室(むろ)」の中で芳香な香りに包まれ、麹菌の息づかいを感じ、浜納豆の美味しさに納得したのです。そして金原ご夫妻の浜納豆にかける情熱を肌で感じ、「浜納豆伝道師」として私も浜納豆の美味しさを伝えていこうと決意したのでした。

Writer:aranyos

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